現在、四季劇場[秋]では、「昭和の歴史三部作」一挙上演の第2弾となる『ミュージカル異国の丘』が好評上演中です。終戦後も長く続いた悲劇「シベリア抑留」をテーマに、誇り高きある貴公子の苛烈な生涯を描いた本作。そのリハーサルを上演前にご覧いただく「リハーサル見学会」が6月27日(木)に開催されました。
「あたり」とも呼ばれるこのリハーサルは、毎公演ごとに実施されています。問題がある個所がないか?改善点はどこか?日々舞台の質を保ち、常にクオリティーを上げるべく課題に取り組んでいます。そして、この日「あたり」を行ったのは、1幕のイーストリバーサイドの高級レストランでのシーン。シベリアの収容所で過酷な尋問を受ける九重秀隆、その若き青春の日々が回想されます。舞台は1930年代のニューヨーク。留学中の秀隆は、この地で運命の人・宋愛玲と出会い、日中の和平に命をかけることになります。
リハーサル風景
客席からは中村 巌がダンスを、井上隆司が歌を、それぞれ鋭い眼差しでチェックし、「出だしのブレスをしっかりと」、「腰の位置に気をつけて」などアドバイスを送っていきます。本格的な稽古風景に、興味津々といったご様子で釘づけとなる参加者の皆さま。きっと、これからのミュージカルの楽しみ方が一味変わったことと思います。
リハーサルがひと段落すると、アンサンブルの佐藤圭一が司会となって、俳優への「質問コーナー」が開催されました。参加したのは、西沢役の深見正博、宋愛玲役の佐渡寧子、神田役の深水彰彦、ナターシャ役の西村麗子の4人。戦争という歴史をテーマにした作品ということで、お客様からのご質問も「歴史を演じることの難しさ」に焦点があてられました。
「体感したことのない零下40度という想像を絶する環境の中、抑留生活がどのように送られていたのか? 仲間たちが次々に倒れていき、明日には自分も目が覚めないかも知れない。極限まで追い詰められた人々の生き様を、どうリアリティーをもって表現できるかということに、毎日、自問自答の日々です。シベリアから帰還された人々は、あまり多くを語られていません。語ることがためらわれるほど、厳しい生活だったのでしょう。だからこそ、この作品によって「シベリア抑留」という歴史の事実を語り継いでいきたい。それが、この作品の意味だと思います」(深見)
「たしかにこの作品は悲惨な内容を含んでいます。ですが、厳しい環境の中で音楽を作り続けた吉田 正氏のように、極限状態だからこそ、人間性を失うまいと大切に心に抱いていたものがあるはずです。絶対になくしたくない思い、もう一度会いたい人、戻りたい場所、実現したい夢など、本当に大切なものが明確に見えていたことでしょう。それは、豊かな現代に生きる私たちが、見えなくなってしまっていることかも知れません。悲惨な状況の中でも、そういうものが浮かび上がってくるように演じることを一番大切にしています」(深水)
(上段右)佐藤圭一(下段左より)深見正博、佐渡寧子、深水彰彦、西村麗子
その他にも様々な質問が寄せられました。「注目してほしい見どころを教えてください」という質問に答えた佐渡は、「シベリアの場面とニューヨークの場面の転換を見てほしいです。実は舞台裏では、俳優たちも一生懸命舞台転換に力を尽くしています」とコメント。客席からは見られない俳優たちの姿が語られました。また、「出演されるにあたり気をつけていることはありますか?」という質問には「体調管理です。毎日最善を尽くせるように努めています」と西村が答えると、その言葉を他の俳優たちも頷きながら聞いていました。
最後にサプライズのプレゼントが抽選でお客様に贈呈され、公演前の充実した時間となった「リハーサル見学会」。次回は7月4日(木)に開催されますので、ぜひご参加ください。また、6月29日(土)には、舞台裏を間近で体験する「バックステージツアー」も開催されます。7月13日(土)の千秋楽まで、まだまだイベントが続く『ミュージカル異国の丘』。皆様のご来場をお待ちしております。
『ミュージカル異国の丘』東京公演
四季劇場[秋]
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