6月2日(日)に東京・自由劇場で開幕する三島由紀夫の傑作戯曲『鹿鳴館』。その最終舞台稽古が前日1日(土)に同劇場で行われました。
明治19年の天長節(天皇誕生日)、時の社交場「鹿鳴館」で催された大夜会を舞台に、親子の愛、男女の恋、そして政治的陰謀を描いた悲劇。
「筋立てはまったくのメロドラマ、台詞はまったくの知的な様式化」
三島自身が言及しているように、膨大な量の台詞が美しい調べのように奏でられていくこの作品は、舞台で語られる「言葉」に対して並々ならぬ研鑽を重ねてきた劇団四季60年の歴史の真価が発揮される作品といえるでしょう。
2006年の初演では、ストレートプレイとしては異例の半年間に及ぶロングランを成功させた舞台。今回は、影山伯爵役に平 幹二郎さんを迎え、新境地を見せる再演となります。それだけに、この日の劇場は、舞台稽古でありながら、本番さながらの熱気に包まれました。
幕が開き、まず目を見張るのが、その舞台美術の壮麗さ。影山伯爵邸の凛とした日本家屋と、鹿鳴館の華麗な装いが、巧みな照明効果とともに立体的に浮かび上がります。そして、森 英恵さんがデザインした優雅な衣裳の数々も、甘美かつ知的な物語をますます引き立てます。三島由紀夫が紡ぎ出す流麗な言葉の調べを耳にしながら、この舞台を目の当たりにする時、日本とは、日本語とはこれほどまでに美しかったものかと観客は唸らせられることでしょう。
複雑に絡み合った愛情と憎悪の宿命の糸の中で、その宿命の中心にいる影山伯爵夫人・朝子の尽力で、一度はすべてがつつがなく平和に幕を下ろすはずだった、それなのに…。政治権力の象徴たる鹿鳴館に響き渡る優雅な円舞曲の裏側で、きしみを上げて狂いはじめていく運命の歯車。朝子と生き別れの子・久雄、久雄と影山伯爵、朝子と影山伯爵。それぞれの業をぶつけ合うようなスリリングな会話は、「言葉」の重みと大切さを改めて感じさせてくれます。
悲劇の幕が下りた瞬間、割れんばかりの拍手に包まれた自由劇場。厳かな自由劇場にふさわしい品格を備えた舞台「鹿鳴館」。皆様のご来場、心よりお待ちしております。
『鹿鳴館』東京公演 自由劇場 6月2日(日)開幕! ◆6月29日(土)公演分まで好評発売中 チケットのお求めはコチラ>>
(撮影=上原タカシ)
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