太平洋戦争中・インドネシア南方戦線を舞台に、時代の激流の中で無実の罪によってBC級戦犯として処刑台に散った青年・保科 勲の物語『ミュージカル南十字星』。
その物語を、実際に南方戦線に従軍されたご経験を持つお二方がご観劇されました。
史実をもとに、歴史に埋没させてはいけない昭和の戦争を語り継ぐ舞台。劇団は、南方戦線従軍ご体験者の方々にぜひ観劇していただきたくご招待し、今回のご来場となりました。お一方は、当時、過酷を極めたインパール作戦にも従軍し、特攻隊として出撃する直前に終戦を迎えた元・陸軍大尉の大賀龍吉さん。戦後はビルマを訪れ、慰霊巡拝や小学校建設などに尽力されました。
「本当にいい作品を見せていただきました。舞台が終わって、真っ先に東京裁判(極東国際軍事裁判)でのインドのパール判事の言葉が思い浮かばれました。
『時が熱狂と偏見をやわらげた暁には また理性が虚偽からその仮面をはぎとった暁にはその時こそ正義の女神はその秤を平衡に保ちながら 過去の賞罰の多くにそのところを変えることを要求するであろう』
今日、若い人たちもたくさんいましたが、今の人は本当のことを習っていません。しかし、真実は徐々に姿を現すことでしょう。本当に、無実の罪で亡くなったBC級戦犯の人たちもたくさんいらっしゃる。お国のために自分たちは礎になっていくのだと。戦後70年近くが経ちますが、まだ日本は本当に回復していないと思います。ですが今日、若い人たちの姿を見て、希望が湧いてきました。真実を知って、誇りと勇気を持ってほしい。かつて「日本はこれだけやられたら復興に100年はかかるだろう」と言われていました。私はもう90歳になりましたが、これから若い人たちが頑張って20年、30年後には本当の日本になるのだろうと望みを抱いています」
もうお一方は、海軍軍医としてラバウル基地周辺に従軍されていた佐々木正五さん。真珠湾攻撃の際には潜水艦に乗艦されたといいます。
「企画も良いし、俳優も一生懸命、真剣で、一級の舞台でした。戦争というものは、善いも悪いもありません。善い戦争が勝って、悪い戦争が負けるのではない。強い方が勝って、弱い方が負けるものです。ただし、生き物というのは自己防衛は必ずある。どの国でも、どの民族でも自己防衛は必要です。それは絶対に消すことができないでしょう」
“戦争の悲劇”に真正面から向き合い、“昭和”という時代の真実に迫った劇団四季オリジナルミュージカル「昭和の歴史三部作」。
戦争を生きた人々が、今を生きる私たちに残したメッセージ、『ミュージカル南十字星』は6月1日(土)に千秋楽を迎えます。この機会に、ぜひ一度ご観劇ください。
『ミュージカル南十字星』東京公演では、6月1日(土)まで南方戦線従軍体験をお持ちの方をご招待しております。
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