6月29日(土)、四季劇場[秋]にて『ミュージカル異国の丘』のイベント「バックステージツアー」が開催されました。
様々な舞台装置や膨大な衣裳・小道具が必要となるミュージカルの舞台。普段は知ることのできないその裏側を、舞台に上がって見学できるのが本イベントの醍醐味です。また、ツアー前の舞台監督による解説も、そのこだわりを知る機会となっています。
この日、まずお客様の前に登場したのは舞台監督の東 恒史。『ミュージカル異国の丘』は、太平洋戦争を挟み、九重秀隆が抑留されたシベリアと秀隆の回想の場面である開戦前のニューヨークという二つの場面が交錯しながら立体的に物語が展開していきます。その二つの場面の転換をいかに効果的に行っているのか?その秘密が明かされていきます。
(上段・中段左)舞台監督の東 恒史によって舞台転換についての解説が行われました。(中段右・下段)照明チーフの井上登紀子による照明の解説の様子。
まずは零下40度という極寒のシベリア。このシーンを象徴する色は「白」です。舞台の上手と下手にある袖幕や舞台上部に吊られている一文字幕も全て「白」で統一され、床には「凍土」をイメージした白いシートをかぶせています。「白」のシベリアとは対照的に、ニューヨークのシーンを象徴するのは「黒」。上演中に「白」から「黒」、はたまた「黒」から「白」へと様変わりする舞台転換の方法を、東が丁寧に解説していきます。ニューヨークからシベリアへと転換する場合、「凍土」のシートを床にかぶせていきますが、これは労働を強いられている抑留兵が大木や重たい石を引っ張っているイメージで行われています。実は、この転換には意外な秘密がたくさん隠されており、その解説にお客様は興味深げに耳を傾けていました。
舞台監督による解説が終わると、今回はさらに音響と照明についてもその裏側をご紹介していきます。音響サブチーフの市川遣吾からは、シベリアを吹きすさぶ凍てつく風の音について、その誕生秘話が語られました。耳にしただけで体が震えてくるようなリアルな風の音を作り出しているのは、なんとある身近な家電製品なのです!ひとつの音作りにかけるあくなき試行錯誤に、お客様も感心しきりの様子でした。
また、照明チーフの井上登紀子からは、照明によっていかに季節感や温度、さらには登場人物たちの心理を表現していくかが、実演を交えて語られました。300台におよぶ照明が生み出す舞台の変化は、それだけで見応え充分です。
それぞれ実演を交えての解説に、参加者の皆様は驚きをもって聞き入っていらっしゃいました。
舞台上では実際に使用されている舞台美術・小道具・衣裳をご覧いただけます。
こうして舞台を支えるスタッフたちの熱い思いを知り、いよいよお客様は舞台上へ。精巧に作られた道具や衣裳、巨大なセットは、舞台に立って間近に見るとその迫力に圧倒されます。気になることがあれば、気軽にスタッフにご質問いただくこともできます。また、舞台監督への質問コーナーもあり、今回は「九重秀隆と宋愛玲が乗る船がどうやって動いているのか?」という秘密についても明らかにされました。
舞台の裏の裏までご堪能いただける「バックステージツアー」は、次回7月7日(日)にも開催されます。また、7月4日(木)には「リハーサル見学会」の第二回も開催されますので、ぜひこの機会にご参加ください。俳優・スタッフ一同、皆様のご来場をお待ちしております。
『ミュージカル異国の丘』東京公演
四季劇場[秋]
7月13日(土)千秋楽
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