5月19日(日)に四季劇場[秋]で開幕する『ミュージカル南十字星』。この作品は『ミュージカル李香蘭』『ミュージカル異国の丘』とともに、昭和という時代に日本が体験した「戦争」の実相に迫る「昭和の歴史三部作」の一つとして2004年に初演され、今回が4年ぶりの東京公演となります。
京都大学の学生である保科 勲とインドネシアからの留学生リナ・ニングラット。恋人同士の二人は、太平洋戦争前夜、インドネシアの独立運動の激化にともなうリナの帰国によって、離れ離れになってしまいます。インドネシアに伝わる歌「ブンガワン・ソロ」をともに歌って誓い合った再会。それが果たされたのは、悲しいことに戦火の中においてでした。
学徒出陣により南方戦線へ送り込まれた保科。独立運動の指導者の娘であるリナ。戦争という時代の荒波に押し潰されそうになりながらも、懸命に生きた二人。しかし、日本の敗戦後、保科はBC級戦犯として捕らえられてしまいます。無実の罪を着せられながらも、歴史の中で自分が果たすべきことを悟り、処刑台へと消えてゆく保科。
戦争という悲惨な時代にあって、清冽に生き、そして散っていった青年の魂の声が、遠く日本を離れた満天の夜空に吸い込まれていくのでした。
果たして戦争とはいかなるものであったのか?史実をベースとしてその現実を語り継ぐ物語。稽古には初日から演出家が入り、昭和という時代を必死に生きた者たちが出会った「戦争」について深く掘り下げていきました。
また、そうした俳優たちの演技はもちろん、『ミュージカル南十字星』のもうひとつの大きな魅力は、クリエイティブスタッフたちがインドネシアに渡り、その風土や文化を徹底的に研究して作り上げた舞台美術、そしてエキゾチックな歌とダンスです。
ジャワ舞踊やバリ舞踊を取り入れたダンス。伝統的な影絵芝居「ワヤン・クリ」。現在、インドネシアの国歌となっている「インドネシア・ラヤ」も歌い上げられます。そのために、インドネシアの音楽に欠かせない楽器・ガムランの講師を稽古場に招いての特訓も行われました。
立ち居振る舞いから指先・足先の動きまで、俳優の一つ一つの動きをチェックするのは、この舞台の振付を担った加藤敬二。稽古場では、連日俳優たちが複雑な振付やステージングの稽古を重ねています。
劇団四季創立60年周年にお送りする、『ミュージカル南十字星』。「昭和の歴史三部作」連続上演第一弾となる本作に、皆様、どうぞご期待ください!
(撮影=上原タカシ)
『ミュージカル南十字星』東京公演
四季劇場[秋]
5月19日(日)開幕!
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