6月20日(木)に四季劇場[秋]で開幕する『ミュージカル異国の丘』。その最終舞台稽古が、19日(水)に同劇場で行われました。
悲惨な戦争を経験した昭和という時代。終戦から68年が経ち、今では私たちのほとんどが、その苦しみを経験せずに平和の中に生まれ、生きています。しかし、この平和は多くの先人たちの犠牲の上にあることを忘れるわけにはいきません。戦争の痛ましさと私たちが享受している平和の尊さは、決して分かつことができないからです。
戦後最大の悲劇「シベリア抑留」。60万人が収容所に拘束され、6万人もの方が最初の冬を越すことなく、極寒の大地で非業の死を遂げられました。この昭和の歴史に重苦しく横たわる悲劇から目を背けず、真摯に伝えていくために、2001年の初演から俳優たちは使命感を持って舞台に上がり続けてきました。
そして、迎える開幕の時。これまで台本をとことんまで読み込み、「戦争とは何か?」、「戦争の中に生きるとはどういうことか?」と、俳優たちは繰り返し自分に問いかけてきました。その中で見つけた答えを各々の胸に抱き、覚悟を持って臨んだ最終舞台稽古。舞台上に現れた俳優たちは皆、引き締まった決然たる表情をしていました。
「戦後の最大の悲劇である『シベリア抑留』の現実を語り継ぐ責任の重さに、毎回身の引き締まる思いがしています。私が演じている九重秀隆は、当時の男たちがそうであったように、日本人であることへの誇りや信念を持った気高い男です。戦後68年が経ちますが、若い世代のお客様にもこの作品をご覧いただき、秀隆のように激動の時代を生き抜いた方たちの想いをお伝えできればと思います」(九重秀隆役・荒川 務)
荒川の言葉は、俳優たち全員の共通の思いであることでしょう。そして、気持ちをひとつに歌われるコーラスは、切ない響きとともに観客の心を打ちます。このミュージカルのタイトルである『異国の丘』も、そんなナンバーのひとつ。劇中でも再現されているように、このナンバーはシベリアに抑留されていた作曲家・吉田 正氏によって生み出され、兵士たちの間で愛唱されていた歌です。どんな苦しみの最中にあっても、人は歌に思いを込めて生きる糧としてきました。舞台を彩るナンバーからは、そうした痛切なる思いが深く伝わり、劇場を静かな感動で包み込んでいきました。
今だからこそ語り継がなければならない「戦争」という昭和の歴史―。『ミュージカル異国の丘』は、19日(水)に開幕します。ぜひこの機会にご観劇ください。ご来場、お待ち申し上げております。
『ミュージカル異国の丘』東京公演
四季劇場[秋]
6月20日(木)開幕
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