6月3日(月)、晴れ渡った青空の下、元気いっぱいの小学生たちに囲まれて、ニッセイ名作劇場50周年記念公演『はだかの王様』が開幕しました。
1963年に最新鋭の劇場として完成した日生劇場。その豪華な劇場に子どもたちを招待し、ミュージカルを上演する。この夢のような企画は、当時、日本生命の社長であった弘世現さんの「未来を担う子どもたちに、一流の劇場で一流の舞台芸術に触れることで、本物の感動を味わってもらい、豊かな情操を育んでほしい」という強い信念と、熱い思いに共感した劇団四季の全面協力によって実現されました。思い返せば新劇団として旗揚げし、ストレートプレイを中心に上演していた四季が初めて挑戦したミュージカルが、第一回公演の『はだかの王様』。劇団四季ミュージカルの歴史は、子どもたちとともにスタートしたのです。それから半世紀―これまでに8万校近い小学校から760万人を超える児童が招待され、今年も日生劇場での公演を皮切りに、全国5都市で15万5000人の子どもたちが観劇する予定となっています。
初日となったこの日は、午前・午後と2回にわたる公演が行われ、約2500人の小学6年生が劇場を訪れました。初めて目にし、初めて感じる劇場の空気。きっとこれから素晴らしく楽しいことが起こるはず―そんな予感がする特別な雰囲気に、子どもたちは配られたパンフレットや歌詞カードを手にしながら、目を輝かせて幕が開くのを待ちわびています。
開演前の様子。
そこに登場したのは、お芝居の進行役のアップリケとホック。2人の合図で、さっそく「幕を開ける歌」を練習することになりました。『はだかの王様』の幕を開けるには、子どもたちの歌の力が必要なのです。本番では、元気な歌声が劇場いっぱいに響き渡り、いよいよ物語が始まりました。
物語の随所では、俳優の問いかけに大きな声で返事をしたり、同級生と顔を見合わせて笑い合ったり―客席は、舞台を純粋に楽しむ感受性豊かな子どもたちの笑顔に包まれていました。
終演後のお見送りでも、俳優と握手を交わしながら「ありがとう!」「楽しかったよ!」と思い思いに舞台の感想を伝えてくれた子どもたち。そのキラキラと輝く笑顔からは、作品のメッセージがしっかりと伝わり、いつまでも枯れない心の花が芽吹いた様子を感じとることができました。
カーテンコール・お見送りの様子。
50年目を迎え、これからも未来を担う子どもたちに生涯、色褪せることのない心の財産を贈っていきたい。時を経ても決して変わることのない“大切なもの”を、演劇を通じて伝えていきたい―今年もニッセイ名作劇場は、舞台の感動を子どもたちに届け続けてまいります。
(撮影=阿部章仁、劇団四季)