6月2日(日)、東京・自由劇場にて三島由紀夫作『鹿鳴館』が華麗に幕を開けました。
劇団四季はその歴史において、劇作家 加藤道夫をはじめ石原慎太郎、寺山修司、福田恆存など日本人作家による創作劇を積極的に上演してきました。特に2003年に開場した自由劇場では、その名の通り新劇運動を正統に継承し、演劇が市民社会に定着するため、魅力ある作品を上演し続けています。
そして、今回上演される『鹿鳴館』は、そうした取り組みの中でも一際輝きを放つ作品。
舞台美術・土屋茂昭、照明・吉井澄雄、衣裳・森 英恵、音楽・林 光など錚々たるクリエイティブスタッフが集結し、緻密に計算され尽された舞台は、2006年の初演ではストレートプレイでは異例となる5ヶ月のロングランを達成。この度、劇団創立60周年を記念して満を持しての4年ぶりの再演の運びとなりました。
初日の劇場は、開幕を待ちかねたお客様で賑わいを見せます。最高峰の三島文学の世界を堪能しようと、客席はいつも以上に落ち着いた装い。皆様、入念にプログラムをチェックされている姿が印象的でした。
「この芝居はいわば、私のはじめて書いた『俳優芸術のための作品』である。私が筆をおいたところから俳優という最も抽象的な芸術家が活動を始め、俳優芸術という最も抽象的な芸術がその目ざましい純粋運動を開始するように、私はこの芝居を仕組んだつもりである」
これは、この戯曲を書き下ろした当時、三島が残した言葉です。幕が上がるとまさにその言葉通り、卓越した技術を磨き上げ、明晰に言葉を奏でる俳優たちによって、愛と復讐のドラマが瑞々しい生命を得て活動し始めます。それは、影山悠敏伯爵役で2年ぶりに四季の舞台を踏む名優・平 幹二郎さんの登場でいよいよ拍車が掛かり、四季の実力派俳優との緊張感溢れる掛け合いに、お客様は息をのんで舞台に引き込まれていらっしゃる様子でした。
そして迎えるクライマックス、鹿鳴館での舞踏会のシーン。数々の華麗な舞台美術で魅了する本作ですが、このシーンでは、ぜひ注目していただきたいある趣向が施されています。出演者が実際に舞台上で踊るのではなく、バルコニーの窓に映るシルエットで表すという独特の映像的手法が使われているのですが、劇団四季のテレビコマーシャルを多数手掛ける英 勉が手掛けたこの映像には、加藤敬二ら四季ダンサー陣が実際に踊った姿が映し出されています。
舞台の隅々まで四季の総力を挙げて練り上げられた『鹿鳴館』は、盛大な拍手に包まれた初日に引き続き、6月29日(土)まで自由劇場にて上演いたします。ぜひこの機会をお見逃しなく。
『鹿鳴館』東京公演 自由劇場 ◆6月29日(土)公演分まで好評発売中 チケットのお求めはコチラ>>
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